昨年、電験二種(第二種電気主任技術者試験)を初受験し、一発合格しました。
電験二種の一発合格は珍しいのではないでしょうか?(笑)
せっかくなので、今回は自分の電験二種の試験勉強方法をメモとして残しておこうと思います。
ぜひ参考にしていただき、みなさんも合格してもらえればと思います。

目次
電験二種の難易度について
電験二種の受験者数と合格者数は以下の表の通りです。私の受験した令和3年度の試験では、一次試験合格率25.7%、二次試験合格率17.2%でした。
第二種電気主任技術者試験 一次試験結果
受験者数(A) | 合格者数(B) | 合格率(B/A) | |
平成29年度 | 6,570 | 1,737 | 26.4 |
平成30年度 | 6,631 | 1,600 | 24.1 |
令和元年度 | 6,915 | 1,633 | 23.6 |
令和2年度 | 6,235 | 1,695 | 27.2 |
令和3年度 | 5,979 | 1,539 | 25.7 |
第二種電気主任技術者試験 二次試験結果
受験者数(A) | 合格者数(B) | 合格率(B/A) | |
平成29年度 | 2,435 | 329 | 13.5 |
平成30年度 | 2,624 | 381 | 14.5 |
令和元年度 | 2,513 | 574 | 22.8 |
令和2年度 | 2,512 | 701 | 27.9 |
令和3年度 | 2,407 | 413 | 17.2 |
数値だけ見ると、簡単な資格に見えます。しかし、受験者の多くは合格率数%の電験三種に合格済みだということを考えると、かなりの難易度だと断言できるでしょう。
勉強開始時の筆者の状況
私は二年前、電験三種とエネルギー管理士(電気)の試験を受験しました。そして、両試験とも一発合格に成功しました。
「電験三種がギリギリ合格の自分には電験二種なんて無理。必要な勉強時間・労力を考えると、割に合わないだろうし。」ということで電験二種を受験するつもりはありませんでした。三種の勉強もかなり辛かったですし。しかし、キャリアアップのために受験しました。
電験二種も三種と同じく科目合格制度があります。しかし、何年も勉強を続けれる気がしなかったので、一発合格を目指しました。
電験三種合格の翌年であったため、電験三種で勉強したことをあまり忘れていなかったのが幸いでした。
仕事についてはあまり忙しくなく、月の残業時間は20時間前後でした。(自己研鑽していた時間を入れると倍くらいの時間にはなりますが…。)また、コロナ禍だったので、外出を控えました。なので、十分に勉強する時間が取れました。
学習記録を確認すると、200時間ほど勉強していました。勉強期間は約8カ月(3月~11月)なので、1日の平均勉強時間は1時間程度でしょう。
試験勉強
一次試験対策
1次試験の勉強では、念のため、一次試験四科目分のテキスト(これだけシリーズ)と過去問を勉強しました。
一次試験四科目分のテキストは、理論以外は三種のテキストと内容にあまり差がなく、購入する意味がなかったように感じます。電験三種に合格している場合は、理論以外の購入は不要かもしれません。特に電気系の高専や大学卒の方は理論のテキストも購入しなくてもいいかもしれません。
過去問はいい問題集がなかったので、「電験王」というサイトだけで勉強しました。勉強にかける費用を抑えたい場合は、「電験王」だけでもいいかもしれません。
私はテキストよりも過去問を何度も解くことを優先しました。令和2年~平成28年分の過去問は4科目全て解きました。
分からないところは電力会社のウェブページなどを読むと理解が進みました。
二次試験対策
二次試験の勉強でも過去問を解くことが重要です。しかし、過去問だけでは出題範囲全部をカバーできないと思いますので、問題集の購入を推奨します。
二次試験でも「電験王」というサイトにお世話になりました。
電力・管理は論説問題が多く、知らないと回答できない問題も多いので、問題を多く解くことを意識しました。
機械・制御は、得意な制御と誘導機or変圧器or同期機の問題を回答するという作戦で勉強しました。パワーエレクトロニクスには馴染みがなくて、試験合格レベルまで実力をつけるには長時間の勉強が必要と思い、全く勉強しませんでした。
二次試験の勉強も一次試験の勉強につながるという考えのもと、一次試験受験前から二次試験の勉強を始めています。一次試験合格後(10月末)に二次試験(11月中旬)の勉強を始めると、その年の二次試験の合格はかなり厳しいと思います。それくらい、一次試験と二次試験の難易度・出題範囲には差があります。
勉強スケジュール
上に記載したように、私は電験二種を受験する3月から試験勉強を始めています。勉強時間は毎日1時間くらいで合計勉強時間は200時間ほどです。
私の場合は大学で真面目に勉強をしており、数学や理論について、特に勉強をする必要がありませんでした。
理系の高専卒や大卒ではなく、微分方程式・ラプラス変換を勉強したことが無い人、電気系出身ではなく過渡現象等の理論分野を勉強したことが無い人は勉強時間を私より長くとらないと試験合格は不可能だと思います。
微分方程式やラプラス変換は大学1年・2年で学習するレベルの簡単なものしか出題されませんが、すぐに理解し、活用できるものではないと思います。数学の勉強だけでも1カ月はかかると思います。
参考書の評価
一次試験
これだけシリーズ(電気書院)
私は一次試験これだけシリーズを4冊(理論・機械・電力・法規)全て購入しました。
電験三種の完全マスターシリーズとそれほど内容が変わらない気がします。そのため、三種のテキストを持っている人は購入不要かもしれません。ただし、理論分野は過渡現象が分からないひとは必須かと思います。
二次試験
これだけシリーズ(電気書院)
私は二次試験これだけシリーズを3冊購入しました。
- 電力・管理(論説編)
- 電力・管理(計算編)
- 機械・制御(計算編)
これだけシリーズは、丁寧な説明が書かれており、とても分かりやすいです。しかし、演習問題の数が少なく、これだけで二次試験合格は厳しいでしょう。
キーワードで覚える電験2種 二次論説問題(電気書院)
キーワードで覚える電験2種二次論説問題は過去問をもとに、回答に含めるべきキーワードが書かれています。電力・管理の論説問題に不安があるなら購入した方が良いでしょう。ただ、本書の約半分がほとんど出題されない機械の論説問題が記載されています。
電験二種 完全攻略(オーム社)
電験二種完全攻略は、一冊に電力・管理、機械・制御の計算問題と論説問題がまとめられており、良書だと思います。お金に余裕がない場合は、過去問と本書だけで勉強すればいいと思います。
この本の著者のエネルギー管理士用テキストも愛用してました。
おわりに
電験二種はかなり難しい資格ですが、正しく努力をすれば誰でも合格できる資格だと思います。
電験三種と電験二種では保安監督できる設備の規模が違いますし、有資格者の数もかなり違います。
今後、電験二種の有資格者が足りなくなる見込みなので、需要のある資格だと思います。
一度取得すれば、生涯有効な資格であり、もしもの時の備えになると思います。なので、ぜひ取得に挑戦してください。
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